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- 2010/3/6 23:49
- 或阿呆鮭の一生
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- 携帯を卒業するはずだった。
パソコンを買い、マウス、キーボードをマスターし、AKBへの熱き、気持ち悪き思いをほとばしらせるはずだった。
しかし、そうはならなかった。
四万を払って買ったはいいが、まあ使わない。
僕にパソコンは必要無いという事実に気づくのに三日かからなかった。
いや、パソコンだけではない。
携帯のパケット機能すら必要無かった。
涎を垂らしながらモバゲをするだけの日々にアディオス、チャオ。
時代の流れに逆らって、アナログへ。
デジタルの滝を乗り越え故郷の川に帰り、ザメンをピュピュッと卵子にかけて死ぬ鮭、それが私。
亡骸は鮭トバにしてくれ。
それをサミットで売ってけれ。
そういう塩梅で僕はアンチ・デジタルになって、本を読みまくった。
デジタル表記の文字は見たくなかった。
内容が頭に入らなくなったら、トレーニングに汗を流した。
紙と鉄の匂いの中、毎日充実していた。
その内、アンチ・デジタルの矛先は、AKBにも向くようになった。
麻里子様は事務所社長のコレで、コレがコレもんだという報道にショックを受けたからだ。
大事だと思い、私は一日だけ禁を破った。
母の携帯を借り、久しぶりに2ちゃんねる地下アイドル板にアクセスしたのだ。
果たして、スレは混乱を極めていた。
有象無象の魑魅魍魎が阿鼻叫喚の図を呈していた。
デジタルの激流に呑まれた者達の成れの果てだった。
私は恐ろしくなって携帯を放り投げてしまったが、見ると、画面から邪悪なパワーが微量ではあるが放出されていた。
禁を破ったことを後悔した。
お焚きあげし、供養するしかないと思った。
三日後、トングで携帯をつまみながら近くの寺まで歩いて行った。
直に触れたら即“死”である。
「デジタルに敵う思てんのか!」
携帯からは金子貴俊に似たデジタル霊の喚き声が聞こえてくる。
不気味だ。
漸く寺に着き、大仰な門の前で住職を呼ぶと、如何にも徳の無さそうなミスター・オクレ似の男が出てきた。
瞬間、ダメだ、と思った。
私は聞いた。
聞かずにはいられなかった。
「ご趣味は?」
案の定、オクレは
「ネット・サーフィンです」
と。
トングから携帯が落ちた。
自由になった霊は、私に取り憑いた。
そう、私は今、霊によって文を書かされている。
負けた。
滝の下で、アホヅラの鮭が浮かんでいたら、それは間違いなく私である。
私の、魂の亡骸である。
- 携帯を卒業するはずだった。