むふーさんとモバ友になろう!
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- 2012/5/19 14:59
- やさしいあくま〓
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- それから数日が過ぎた頃、ぱったりとフウは山へ来なくなりました。
それでもチュッチュはいつもひとりで、あの木の下で待っていました。
いつまでも待っていました。
「フウ、来なくなっちゃったね」チュッチュが言いました。
すると大きな木がそれに答えました。
「きっと来るに決まっとる。だって二人はともだちなんじゃろう?」と大きな木。
「だけど、あれから、もう何日もたってるよ?」
「きっと宿題でもやっているんじゃよ」
「そうかなぁ。でも何日もこないよ?」
「そうじゃ!もしかしたら風邪を引いて寝込んでしまったのかもしれないぞ。きっとそうじゃよ。来たくても来れないんじゃよ、そうに決まっとる」
「そうかぁ……、そうかもね。少し心配になってきたよ。おじいさん、僕、フウのお家に行ってみるよ」
「そうじゃな。そのほうがいいかもしれんのう」
「行ってくるよ!」
……そう言うと、チュッチュはひとっとび。フウのお家までやってきました。
「フウー?いるの?フウ?風邪の調子はどうだい?」
すると奥のほうから人の声がします。
「おや、フウちゃんのお友達かい?」
その声はベッドで寝ているフウのおばあちゃんの声でした。
「おや、珍しい。あくまの男の子じゃないか」
びっくりしてチュッチュは言いました。
「おばあちゃん!!僕が見えるの?」
「そうだね、見えるねぇ……」
「おばあちゃん、じゃあ……」
「そうだねえ、残念だけれど、もう、そう長くは生きられないだろうねぇ」
……そうです。フウのような子供には、あくまの姿は見えるけれど、大人には見えないはずなのです。
だけど、ただひとつ、もうすぐ死んでしまう人をのぞいては!
「フウちゃんからお話は聞いていますよ。あなたのおかげでフウちゃんは、それはもう、楽しそうに笑うようになってねぇ。
あんな、嬉しそうに笑うフウちゃんの顔は初めて見たよ。ありがとうねぇ。
これまではあたしがいなくなったら、フウちゃんがさびしい思いをしないだろうかと心配だったけど、これで安心して死ぬことができますよ」
チュッチュはかなしくなって、涙がポロポロあふれました。
- それから数日が過ぎた頃、ぱったりとフウは山へ来なくなりました。