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    • 2016/4/26 22:33
    • 外伝ノ肆『惜別ノ時と隠密ノ皇帝』(70)
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    • 思えば、ゆったりとした時の中で玉秀とこうして過ごすのは、随分と久しぶりだったような気がする。最近は政務に励むばかりで、時折後宮に行って茶を飲んでも、心に落ち着きはなかったような気さえしていた。
      自分は亡き兄から夢を受け継いだ唯一の後継、一日も早くこれを叶えることが己が使命と受け止め、政務に励んでいたからかもしれない。
      だが、こうして開封の街へ出て、万花楼で陳慱達とこうして酒食を楽しんでいると、時には息抜きも必要なのだなと思い直す。
      今日のようには無理かもしれないが、疲れたと感じたら後宮に足を運び、玉秀や他の皇妃達とゆっくりした時を送るのは悪くなさそうだ。
      そうして心を癒し、改めて政務に励む・・・それが、中華を統一することに近付くと信じてもバチは当たらないだろう。兄も、きっと許してくれるに違いない。
      「また、このような景色を見れるものでしょうか・・・?」
      子雲の傍らに座り、酒を飲んだ玉秀がそう言いながら、眼下に広がる光景を見つめる。
      今日という日は間も無く終わる。
      そうすれば、また子雲は中華統一へ向けて政務に励む日々が訪れる。玉秀は鬱屈した時を過ごすようになってしまう。
      楽しい時である今日が、ずっと終わらなければいいのに・・・玉秀はそう言わんとしているのだと、子雲は思った。
      「見れるさ・・・見れるに決まっている。
      呉越を服し、北漢を倒し、中華統一が成った暁には、君と二人・・・今度は先生達の力を借りず、堂々と、中華の都となったこの開封の夜景を見に来よう・・・」
      「本当ですの?信じてお待ちしてもいいのですね・・・?」
      「約束する。またここに、酒を飲みに来よう・・・む、盃が空だ。玉秀、注いでくれぬか・・・?」
      「お注ぎ致しましょう」
      玉秀に酒を注いで貰った子雲は、その盃を彼女の方に向ける。
      その意図するところを悟ったのか、玉秀も盃を片手に持ち、
      チンッ・・・
      と盃を打ち合わせた。
      今はまだ志半ば・・・そんな中で過ごした、子雲-趙光義-の他愛もない一日だった。

      (続く)

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