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    • 2016/4/17 11:36
    • 握られた手
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    •  ある日の昼下がり、行儀悪く横になって本を読んでいた。彼女は僕に背中を預けるように座って、やはり本を読みながらコーヒーを飲んでいた。

       ふと、何かを思い出したように、彼女はその陶器のような白い手を僕の腰あたりに添えた。そんな彼女の優しい温もりを感じたまま、幸せな時間を過ごしていた。

       そのまま柔らかな時間が過ぎ、僕の体にわずかな緊張が走る。それを感じ取ったように彼女の手が僕の腰を下っていく。

       緊張がその度合いを深め筋肉の限界値を超えた時、まるでガス爆発のような音が静かな部屋に響き渡る。
       彼女は驚いたように身を竦ませ、そして僕から手を放した。

       謝ろうと思った僕は彼女の方に振り替えると、そこには笑顔の彼女の握られた手が僕の顔へと近づいてくるところだった。
       鼻先で開かれた手。その白さと動きの美しさに見とれた直後、僕の意識は暗闇へと誘われたのだった・・・。


       いったいどのくらいの時間が経ったのだろう。背中にあった彼女の温もりはなく、気配も感じない。
       部屋を見回し、テーブルに目を移すとそこには
      「ごめんなさい」
      と、彼女の字が手の白さを思わせる白いメモに書かれていた。
       いたずらの謝罪なのか。別れを告げたものなのだろうか。
       薄暗くなった部屋の中で、僕は孤独を感じた。


      ~END~

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