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- 2013/3/20 20:05
- 赤いペガサス あらすじと解説 その81
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- カナダグランプリ、決勝終了。
結果だけを見れば、チームSVEはニューマシン投入にもかかわらず、ケンが6位入賞、1ポイントを挙げたに留まる。
しかしながら、現在のチーム状況下においてこの1ポイントは、値千金の1ポイントであった。
最大のライバルであったマクラーレンのハントは、新人ジルに行く手を阻まれ2着どまり、6ポイントを獲得した。
奇しくもジルは、ケンへの最高の援護射撃をしたカタチとなる。
本来ならば、この仕事はNo.2ドライバー、ぺぺの役割である。
だがしかし。
当のぺぺは、予選で大クラッシュし、今は病床に身を横たえる状態である。
復帰の見通しは、今のところ立っていない。
カナダグランプリ前のトップ3の獲得ポイントは、ケン51、ぺぺ48、ハント46であった。
これに、現時点での獲得ポイントを加えると、ケンとハントは、共に52ポイントで並ぶ。
ただし、ケンのほうが優勝回数が1回多いので、最終戦で二人ともノーポイントならば、ケンのワルードタイトルが決まる。
若しくは。
ケンとハント、より多くのポイントを獲得したほうが、勝者となる。
運命の筋書きは、日本グランプリを最高の舞台に、仕立て上げたようであった。
※
ケンは6位でゴールすると、車両保管所にマシンを停め、計量に向かう。
レーシングドライバーは大抵、小柄や中肉の体躯が多いが、体重差がハンデとならないよう、規定最低重量が設定されている。
ちなみに。
規定重量より重いぶんには構わないが、規定重量より軽かった場合、失格となり獲得ポイントは、無効となる。
レーシングスーツとヘルメットを装着し、グローブは外して手に持つ。
計量所に向かう途中、リタイアしたロニーに会った。
軽く会釈するケン。
「お疲れ。」
「お疲れさま。凄いじゃないか?」
「アンタのチームメイト、シェクターのおかげだよ。6輪車のスリップは、強烈だった。タイヤの消耗も激しいから、真後ろの路面は良くグリップしてくれた。」
「シェクターは不思議がってたろう。ところでケン、」
急に真顔になるロニー。
「無線でチームと話したか?」
「ポイント取ったら、1杯奢れ、位は。」
冗談で返すケン。
ロニーは、冗談で返さない。
「ゴールするまで伏せておいたんだが、」
ロニーは
絞り出すように
紡ぐ
「ぺぺが、亡くなったらしい」
続く
- カナダグランプリ、決勝終了。