音虹さんとモバ友になろう!
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- 2015/3/28 22:53
- 夏物語 ~向日葵と少女の輪舞~ [part4]
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- [part3]の続きです!
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「あ、れ・・・?」
たった今まで、ひと時の夢を見ていたのかもしれない。
そう思わせるほど、今この場に流れる風は至って静かなものだった。
ついさっきまで誰かと会話をしていて、何かを問われていたような気がするのに、今は不思議なことによく思い出せない。
やはり夢だったんだ。そう思うことにした。
そう思うことにして、また空を見上げた。
空を見上げて、目に映ったのは。
「・・・夕日・・・」
目に飛び込んできた、夕日色。
見覚えのある、不思議な魅力を持った色。
記憶を呼び起こす、鮮明な色。
「夢・・・じゃない」
この夕日と同じ瞳を持った少女がそこに居たこと。
少女の話を自分のことのように聞いていた時間。
何もかも夢なんかではなくて。
全部、現実にあったこと。
そう気付いた瞬間。いや、それより少し早く。
エリーゼは少女を探すために、向日葵畑の中を駆け出した。
見つけたらどうしようとか。
何を答えようだとか。
何一つ考えはまとまっていないけれど。
夕日に照らされた真夏の向日葵畑の中を、ただ夢中で探し回った。
通り過ぎる向日葵の大きさはそれぞれ違っていて、ちゃんと見ればきっと種の数や花びらの枚数、色合いなんかも微妙に異なるのだろう。
少女の言った通り、これらもまた人間でなくても変化していくものの一つ。
物言わぬ植物でさえ変わりゆくのに、何故自分はこのままなんだろう?
どうしてマスターと同じように、老いていくことが出来ないのだろう?
辺りをくるくる見回しながら少女を探すその様は、まるで踊っているかのようにも見えた。
どれほどの時間、探し回っていたのだろう。
夢中で走り続けているうちに、いつの間にかエリーゼは畑の外へと出てきていた。
そこはいつもと変わりない日常の景色が広がっていて。
夏休みの時間を利用して泊りに来ている、田舎にあるマスターの祖母の家に帰ってきていた。
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part5に続きます!
次が最終回です!多分!!←
- [part3]の続きです!