スピアナートさんとモバ友になろう!
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- 2010/4/1 19:41
- 学生街の食堂にて
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- ある学生街にある1軒の食堂。夫婦と息子さんで経営してて、そこそこ人も入ってる。過去何度か通りかかったが、そのたび入る勇気が無く通り過ぎていた。
今日は息子を連れ、勇気を持って扉を開けた。
「いらっしゃい」の声と共に、女性の顔が綻んだ。
「あなた」の声で厨房から懐かしい顔が覗く。
多分10年振り位だ。この人には散々殴られた。今でも多少しこりは残ってる。
この店に入れなかった一つの要因だ。俺はこの人を憎んでた。
奥さんは服を着てる姿に違和感を感じる。俺はこの人の裸をたくさん見てる。
そんなのも照れになって、一つの要因になってるかもしれない。
遠い昔、女性はピンク女優で男性は撮影技師、俺は撮影助手だった。女性とは20本位、男性とは50本近くやってる。そんな意味では、師匠の1人かもしれない。ただこの人には、酔って散々殴られた。そんな記憶しかない。二人の結婚式に招待された時も行かなかった。風の噂で、食堂開いたのを知った。ただ今まで入れなかった。
息子はハンバーグ定食、俺はカツカレーを頼んだ。
主人がビールを持って俺の席に座った。息子にもビールを注ぐ。まだ二十歳前だが大目にみよう。
主人が息子に
「おまえの親父は男だ。見習えよ」
それだけ言うと、席を立った。
多少は認められてたのかな、そう思うとすっと片隅にあったわだかまりが消えた。間違いなくあの人に鍛えられなければ、今の俺はなかったはずだ。
息子は家まで無言だった。
- ある学生街にある1軒の食堂。夫婦と息子さんで経営してて、そこそこ人も入ってる。過去何度か通りかかったが、そのたび入る勇気が無く通り過ぎていた。