ぎあさんとモバ友になろう!
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- 2011/11/13 14:57
- 心頭滅却すれど、死はまだ怖し。
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- 「紫の鏡」
アルバイト先の先輩Kさんが、満面の笑みを浮かべながら私に言った。深夜のコンビニには、閑散とした空気が漂っていた。
紫の鏡を二十歳の誕生日まで覚えていると、死んでしまう。それは、記憶の奥底に埋もれていた噂話だった。早く忘れなければ、と思った。噂の真相がどうであれ、栄えある二十歳は、気持よく迎えたかったからだ。時計を見る。日付が変わる時刻まで、残すところ十分を切っていた。私は無心になるよう努めた。
だが、たった三文字の言葉すら忘れられないまま、時間は刻々と過ぎていった。余計な事ばかり記憶する脳みそが、恨めしかった。
やがて、十二時を知らせるチャイムが鳴った。だが、私は死ななかった。安堵する。しかし、決して良い気分ではなかった。「おめでとう」とKさんが、飄々とした口調で嘯く。
- 「紫の鏡」