昆布ポン酢さんとモバ友になろう!
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- 2014/8/1 10:17
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- 小さな村の小さな農家に産まれた少女。特にこれといった特徴のない少女だったが、四歳になったある日、能力が覚醒する。
それは、声無きものと話す程度の能力。けれど吉野は、種族を越えた新しい友達を作れる能力に歓喜した。翌年には、寺子屋に通うようになる。
それから更に一年が経った時、いつもより帰りが遅くなった日があった。吉野の母は心配になり、帰らない娘を捜しに行った。捜し続けてしばらくすると、寺子屋から自宅のちょうど間に位置する場所に、犬と話しながら歩く吉野の姿があった。
吉野は母親の姿を見つけるや、すぐさま駆け寄る。母親もまた駆け寄ろうとした。
そのときだった。
母親の背中から鮮血が飛沫となって辺りに飛び散った。そして、そのままゆっくりと地面へ倒れる。吉野は、その場に立ち尽くすことしか出来なかった。
母親の背後にいたのは、刀を持った男。気味の悪い笑顔を浮かべ、手に持つ刀には母親の血が滴っている。そして刀を振り回しながら、こちらにゆっくりと向かって来たのだった。
けれど、幼い吉野にはどうすることもできない。目の前の男に恐怖し、ただただ泣きじゃくった。
「お母さん」と叫びながら――。
男は吉野の前に来ると、勢いよく刀を振り上げる。吉野は反射的に目を瞑った。しかし、刀が降り下ろされることはなかった。代わりに聞こえてきたのは、男の辛そうな声だった。
吉野はそっと目を開ける。
すると、先ほど話していた犬が男に噛みついているのが見えた。男は必死で振り払おうとするが、犬が離れることはない。それどころか、男の袖には血が滲んでいる。
男は半狂乱になり叫びながら、振り払おうとする力をより一層強くした。
すると、犬は男の腕を解放する。そして、唸り声を上げて男をじっと睨む。男は泣きそうな声でなにやら喚きながら逃げていった。男がいなくなったのに安堵した吉野は、そのまま意識を手放した。
その日以来、吉野はそれに関連したものに怯えるようになった。それでも現在は、他者の前では見かけだけでも気丈に振る舞っている。
- 小さな村の小さな農家に産まれた少女。特にこれといった特徴のない少女だったが、四歳になったある日、能力が覚醒する。