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    • 2025/6/20 21:10
    • 醜女の化粧(創作です)
    • コメント(4)
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    • 「ああ、道に迷ってしまいました」


      うなだれるように領主の娘は
      辺りを見渡した。


      国の戦禍から逃れるために
      国境にある山へと身を隠したのだが
      従者とはぐれ娘は困惑した。


      しかも日は傾き薄暗くなるにつれ
      娘の不安は増していく。


      噂によるとこの辺りは野盗の巣窟で
      金品どころか命の危険も孕んでいる。


      もし野盗に見つかり捕らえられれば
      国一番と謳われた娘の美貌を
      野盗達は放っておくわけもなく。


      想像しては身震いする娘の前に
      おぼろげに明かりの灯る粗末な庵が見えた。


      藁にも縋る思いで娘が訪れると
      中から醜くみすぼらしい老婆が
      穏やかな笑顔で出迎えた。


      「そなたが来ることは知っていました
       粗末な寝床で忍びないが
       今晩はここに泊まるがよい」


      娘は老婆の言葉に甘え
      疲れもあってか
      すぐに眠りに就いた。


      翌朝老婆は娘を起こすと


      「いつまでもここにいると
       野盗が気配に気づいて襲ってくる
       さあこれを塗ってすぐにお行きなされ
       これさえ塗れば野盗も手出しはせぬ」


      そう言って差し出した小瓶には
      土気色の粉が満ちていた。


      怪訝な顔をした娘だったが
      背に腹は代えられぬと悟り
      粉を顔中に塗って老婆が差し出した鏡を覗いた。


      それは国一番と謳われた娘の美貌の面影がまるで無く
      あまりに汚らしい醜い面持ちに
      娘は思わず顔をしかめた。


      「よいか
       そなたに幸せが訪れるまで
       その粉は人前では決して落としてはなりませぬ」


      そう言って老婆は娘を送り出した。


      不安に駆られながら娘は山道を歩き続けたが
      野盗は醜い老婆のような娘を見ても
      侮蔑の目を向けるだけで
      無事に隣の国の町にたどり着いた。


      娘は老婆の言いつけを守り
      化粧を落とすことなく
      とある商家の風呂焚き婆として働き始めた。


      商家では誰も娘に関わろうとしない中
      心優しい独身の若旦那だけは
      醜い化粧をした娘にも分け隔てなく接した。


      ある日若旦那は


      「そなたも疲れているだろう
       風呂に浸かりゆっくりするがいい」


      と娘に勧めた。


      「しかし私は風呂焚きの身分
       身を清めるなど罰が当たります」


      そう断る娘に


      「いや、身分など関係にあらず
       まだ温かいうちに早くお入りなされ」


      しばし逡巡した娘だが
      意を決して風呂に浸かり
      化粧を全て落として若旦那の前に姿を現した。


      「そなた
       本当にあの風呂焚き婆なのか
       美しい・・・
       まるで夢を見ているようじゃ」


      そう呆然とする若旦那の前で
      俯き微笑む娘の姿があった。


      やがて二人は祝言を挙げ
      ますます商家は繁盛したとさ。

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