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- 2013/10/13 23:57
- 旅立
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- 昨日，姉は遂に欧州へ向けて旅立っていった。
病気のことがなければ，欧州での仕事の話はもう少し先になっていたのだろう。本当は日本でもっと色々なことをやっておきたかったはずだと思うから。
でも，時間がないとわかってから，姉にとって最優先したいことは何なのか，姉なりに決めたことなのだ。そこに身内との時間という選択肢がないであろうことは，これまでの事から充分解っていたけれど，それでも私は，もう少し近くに･･･せめて日本にいて欲しかったという思いを止めることができないでいる。
抗癌剤の影響で起こったアナフィラキシーの反応は，既に弱っているはずの体をさらに痛めつけたに違いない。それでも動けるようになると，自分のやるべきことだけに集中していた。
今回の仕事先へは，これまでに何度も行ったことがあるらしいので，現地での不安はないようだが，あの体で生活していくことに全く不安を感じないはずがない。しかし姉は，敢えて普通にしていようと努めている様に見えた。
空港では，姉にしては珍しくハイテンションで，お土産物以外にもアクセサリー類や化粧品も見ていた。もっとも，軽い金属アレルギーを持っているので，アクセサリーを買う決心はつかなかったようだが，日頃そういうものには最低限の興味しか示さなかったから，本当に珍しいことだった。
そんな姉の買い物に苦笑いしながら付き合い，病気の話をすることもなく，最後まで他愛のないことを話しながら，姉の旅立を見送った。
昨日は，なぜ姉がそんな行動をしているのか不思議に思っていたのだが･･･今日になって，ふとしたことから，あれらの行動は全て私のためだったのだと気がついて･･･
もちろん姉自身も二度と日本に帰ってくることはないってことを意識したくなかったのだろうが･･････あふれ出る涙を止められなくなってしまった。
妹に甘えてばっかりでごめんね，と言いながら，結局いつもそうなのだ。
周りに気を使っているようには見えない一見自分勝手な行動も，よく考えると結局こっちが気を使われていた･･･ということが，これまで何度あったか。
遊びに行くからと言いながら，私がこの旅立を本当は寂しがっているってことを，姉は十分に承知していたのだ。
小姐，もう残された時間を自分のためだけに使って良いから･･･後ろを振り返らないで，もう私達の事は心配しないでいいから，自分が行きたいとこまで･･･行けるとこまで行ってらっしゃい！
- 昨日，姉は遂に欧州へ向けて旅立っていった。
