げむおばさんとモバ友になろう!
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- 2012/10/7 0:29
- 心変わり 4ページ目
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- 俺は、先ほど見つけておいた狭い路地の裏に入り込んだ。
ここにはゴミひとつ落ちていない。誰も通らない、通る必要の無い狭い通路だ。
両脇からは光が射し込み、人目も多少つく。しかし、そんなことを気にしていたら道路で寝ることになる。まぁ、たいして変わらないが。
双方の出口までの距離は、人が5人ぐらいはは寝転がれる幅。しかし、逆にその隙間である横幅は、体育座りでかろうじて座れる程度の幅しかない。
もちろん、人が一夜を明かすことを想定していないからだ。
俺は、この狭い我が家の適当な位置に座った。
することがない。今するべき目的がない。
何をこんな出署一日目でこんなに絶望してるんだか。
俺は、右を見た。
右には、住宅街がある。茶色いレンガ風のデザインの家がある。それ以外は何も見えない。
俺は、左を見た。
左には、通行人と商店街がある。今、時間はいつ頃なのだろう?この人たちはどんな目的を持って歩いているんだろう?
ぼうっとして商店街のほうを見ていると、通りかかった一人の男性と目が合った。
彼は、白い半袖のシャツとブルージーンズを履いた、筋肉質の若者だった。最近の若者はこんなに筋肉を鍛えるのか。
彼は、数秒俺を見たあと、歩き去っていった。なにがしたかったんだ?奴は。またみんな俺を馬鹿にするのか。汚いか。みすぼらしいか。醜いか。
俺は、自分の手を見た。
手だ。血の巡りのすこぶる良い、健康な手だ。無心で見ていると、鼓動を感じてピクピクする。
生きてる。
…気持ち悪い。
自分が生きてる。
まるで自分の手を虫でも見ているかのように拒む自分がいる。
周りと違う。仲間がいない。自分の意思があって、その意思を包み込んだ俺の体がある。俺は孤独。体が別物に感じる。
いいよな俺の体は。俺に任せてれば生きてられるんだもんな。いいよな。
「おい。オッサン」
俺に話しかけるやつがいる。俺は左を見た。
不意に、誰かが何かを俺に投げつけた。
それを俺は見事に顔面で受け止めた。
「あっ、わりぃオッサン。俺ノーコンなんだよ。それ、飲んでいいぜ。じゃあな」
彼は、先ほどの若者だった。俺に向けて右手をあげて、去っていった。
俺にぶつけたものを見た。
「…コーラか」
俺は、缶の冷たさを感じる体に、共感した。
続くぅ~
- 俺は、先ほど見つけておいた狭い路地の裏に入り込んだ。