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    • 2012/10/4 0:36
    • 心変わり 3ページ目
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    • 「こんにちは。ご利用ありがとうございます。では、こちらの用紙に経歴やその他指示された情報を詳しく書き込んでください」

      30代後半ぐらいの男性社員が、にこにこしながら俺の前に用紙とペンを出した。

      内容は極端なものだった。名前、希望就職条件、住所、経歴、資格…。

      俺は、名前よりも先に、経歴の欄に躊躇なく「前科持ち」と書き込んだ。まず、これを認める会社でしか働けない。

      真っ当に生きるというのは、このリスクを持ちながら言えた戯言だったか、自分で少し反省した。

      資格はなにもなし。住所すら無い。

      うつけだ。俺は。大うつけだ。

      俺の前にいる男性社員に、用紙を渡した。

      彼は俺の書いた用紙を見て、目を丸くして驚いた。

      「…梶原さん?住所、書いてください。」

      「無いんです」

      「え…じゃあ、親類の住所でもよろしいですよ」

      「知らないんです」

      「は…?」

      彼は改めて俺の書いた用紙を見た。

      俺の書いたものは名前と経歴だけ。他は真っ白。こういう書類が人の人生を表すって、本当なんだな。笑っちまうよ。

      「…梶原さん。これだけじゃあ、就職は絶望的ですよ。何でも良くて文句が無いなら何件かは問い合わせますが…」

      「いいです。やります。なんでもやります」

      彼は一瞬気だるそうにして、俺に向き直った。

      「わかりました。では、明後日の同じぐらいの時刻に、また来てください。何件か問い合わせておきますので。」

      「はい。ありがとうございました」

      俺が礼をすると、彼は頭を下げなかった。思い違いだろうが、俺には就職者が未就職者を見下すように見えた。

      いいんだ。俺はこれからかわるんだ。今に見ていろ。胸を張って生きられない俺でも、苦もなく幸せに暮らしてみせる…。

      俺は、終わると同時にはや歩きでここを出て、何をするわけでもなく、ただ意味もなく歩道を歩いた。

      ここの外には、自動販売機が置いてあった。なにかは飲みたいと思ったが、金が無いために断念した。

      少し名残惜しくなり、自動販売機を眺めていると、5~6歳ほどの男の子が走ってきた。

      男の子は、目の前で見せつけのように炭酸のジュースを購入した。

      なんだろう。俺はこんな子供にまでからかわれて、見下されているのか。

      俺は、また目的もなく歩道を歩き始めた。






      続くのだ!

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