狂骨さんとモバ友になろう!
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- 2019/11/2 6:01
- 取り憑くもの⑤
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- リナちゃんの家はごく一般的な会社員だった。農機具関連の地方企業で営業担当だったようで、近隣には顔が広く、農家さんから取れたての野菜などをよくもらう家だった。
田舎の2階建て一軒家で、庭と家の裏には小さな家庭菜園があってトマトやら大葉やらを育てていた。
庭では茶色い雑種の犬が飼われていて、ゆきさんが小学生の頃にはわんぱくだったその犬も、今は少し太った老犬で、訪れたゆきさんを興味なさげに一瞥しただけで居眠りしていた。
それでもゆきさんの方は犬を覚えていて、近寄ってその頭を撫でた。
「元気たったの、ロク。私のコト覚えてる?覚えてないならアンタ番犬失格だぞー」
ゆきさんは犬の名前を覚えていた。ロク。それは子犬にしては尾が長かったこの犬の、しっぽが数字の6のように丸かったからついた名前だった。
ひとしきりわしゃわしゃ撫でる様子をリナちゃんも笑顔で見ていた。
「大人しいよね。ロクも覚えてるんだと思うよ。後で一緒に晩ごはんあげてみてよ。」
リナちゃんはそう言いながら家にゆきこさんを招き入れた。
つづく
- リナちゃんの家はごく一般的な会社員だった。農機具関連の地方企業で営業担当だったようで、近隣には顔が広く、農家さんから取れたての野菜などをよくもらう家だった。