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- 2020/5/30 19:58
- 鯨は何処へ…二人の老姉妹が紡ぐ魂の叙事詩
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映画レビュー[27]
* * *【タイトル】『八月の鯨』(原題: THE WHALES OF AUGUST)【監督】リンゼイ・アンダーソン【出演】リリアン・ギッシュ,ベティ・デイヴィス,ヴィンセント・プライス他【製作国】アメリカ【製作年】1987年【時間】91分【評価】(5/5)
海辺に建つサマーハウス。共に夫に先立たれ、さみしさを分かちながら支え合って暮らす姉妹, セーラ(リリアン・ギッシュ)とリビー(ベティ・デイヴィス)。姉妹は毎年八月になるとやってくる鯨を見る事を楽しみにしていた…。***ハリウッド往年の名女優,リリアン・ギッシュとベティ・デイヴィスが主演をつとめ、この映画で二人はそれぞれセーラと盲目のリビーという姉妹を演じた。妹のセーラを演じたのは、サイレント映画の草創期から活躍してきたリリアン・ギッシュ。なんとこの映画の撮影時90歳。見た目は可愛らしいおばあちゃんだが、当時90歳とは思えぬ表現力豊かな演技力で驚かされる。サマーハウスが経つ海辺で毎年鯨を見る事を楽しみにしていたあの純情を未だ持ち続けながらも、気難しく皮肉っぽい性格で困らせる盲目の姉リビーを献身的に世話するセーラを見事に演じている。そして、セーラの姉で皮肉屋のリビーを演じたのは、『イヴの総て』(1950)や『何がジェーンに起ったか?』(1962)で貫禄ある名演や怪演を魅せたベティ・デイヴィス。撮影時79歳。すっかり痩せほそり髪が真っ白になったデイヴィスではあったが、この映画でもその堂々たる演技は未だ健在で、往年の名優とは何たるかを思い知らされるようである。Blu-rayの特典映像には出演者のインタビューが収録されており、そこでデイヴィスは堂々とタバコを吹かし、ロッキングチェアにどっかり座って前後に揺れながら質問に答える。インタビュアーの意見や質問に対してことごとく否定的で殆ど同意しないのに不思議と何も嫌味を感じさせないのは生涯、女優であり続けたからだろう。ストーリーはいたって素朴だが、空の青を映した海の上を風がやさしく突き抜けていくような静かな味わい深さがこの映画にはある。私には姉妹も兄弟もいないが、お互いを想い合い、時には衝突しながらも支え合うセーラとリビーのような姉妹を何となく羨ましく思う。決して派手な映画ではなく、むしろ地味にも思えるが、とても大好きな映画である。
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