野菜生活。さんとモバ友になろう!

日記・サークル・友達・楽しみいっぱい!

Yahoo! JAPAN IDだけで遊べる!今すぐ遊ぶ!

    • 2011/4/13 2:35
    • 波の無いの場所で
    • コメント(0)
    • 閲覧(69)
  • "アバター"
    • 「ねえ、そこの喫茶店に入らない?」
      ハイヒールを履いた女が俺にそう言うと、踵の痛みに顔を歪めながら小さなため息を零した。
      「足、大丈夫か?」
      格好をつけた声で俺がそう聞くと、また、同じようなため息をついた。
      「頭痛が凄く痛いのよ、あなただって偏頭痛持ちだからわかるでしょ?」
      不思議な時間だった。目をあわせていたはずなのに、煉瓦で作られた壁の色の方が今となっては印象に残っているのだ。


      そして俺は笑ったんだけれど、どうして笑ったのだろう。
      彼女の赤い唇から放たれた言葉は俺の耳に届いた。口角があがる、それはとても自然な流れで。
      「彼女が苦しんでるのに、あなたは笑うのね」




      喫茶店を出る頃にピエロみたいな服装をした男がこの地下街で何も言わず、顔色一つ変えずにマネキンのようにずっと突っ立っていた。そのことについて話を広げようとしていたのだが、モカフラペチーノを子供のように目を輝かせて飲み干した君を見ると何も言えずに時間が過ぎた。
      会計の際に「ここは俺が払うから」、「無理しなくていいのよ」「無理なんてしてないって」という良心のファッションショーを開催した。けれど観客は無愛想でどうでもよさそうに時計をチラチラ見ながら金を出すのを待っているだけだった。誰も呼んではいないはずのファッションショーで。


      「次は私が払うからね。」
      頭痛が痛い君はもう終わったことにとても興味があって、俺は全てにおいて君とは逆で。だからいつも喧嘩は絶えなかった。こういう時には口笛を吹きたくなる。君の話がくだらなすぎると感じ、そういった時には頭の中にiPodがあったことを思い出すのだ。その口笛の音色はいつでも空の色を濁す。


      地下鉄に乗った。目的地についた。階段を上った先にある地上。こんなに青い空の下で(下だからこそ)僕たちはいつだってブルー。

コメント一覧

更新する

この日記を違反通報する

野菜生活。さんの
最新日記

野菜生活。さんの
お友達の最新日記

日記を探す

気になるキーワードで検索

みんなの新着日記