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- 2019/7/12 1:47
- ( ¨)うどん。
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もう何年前になるか…学生時代、ゲーセンのバイトをしていた私の昼食はもっぱら近くの商店街の飲食店だった。
ある日、後輩の薦めで市場の中にある一件のうどん屋に入った。
本業はどうやらうどん玉の卸売業らしく、通路側にはせいろに入ったうどん玉がぎっしりと。年老いた夫婦が切り盛りする店内は狭く、カウンターとテーブル数席。
見るからに昭和の市場の大衆食堂、である。
大きな釜に網、その中でうどん玉が踊っていた。
(^_^;)
そして…私はあっけにとられた。
注文を聞いた女将さんは丼を取り出し、鰹節と醤油、化学調味料らしき物をひとふり…そこにゆで汁ごとうどん玉を放り込んで出してきたのだ。
わずか一分程度の調理時間、手抜きにもほどがある…これで金を取る気か、ともあれ空腹を満たして嫌みのひとつでもと思っていた。
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ところが…ひと口すすった途端、そんな気持ちは一気に吹き飛んだ。
そこいらのうどん屋のダシよりはるかに濃厚、かつ濁りの無い味。
ゆで汁に溶けだしたうどんの塩分が醤油と抜群の相性を生み出す。
当時関西では珍しく、讃岐うどんに近い腰、尚且つグッとむっちりと喉を通り抜ける気持ちよい麺。
…脱帽である。シンプルとバランスの極致、最高のうどんを食べさせてもらった。
確か値段は200円程度…もっと取りなはれ、と金を払いながら心で思った。
以来、うどんの他におにぎりをセットで注文する日がしばらく続いた。
(゜-゜)
…それから就職して数年地元を離れ、久しぶりにそこを訪れてみると、市場ごとうどん屋は無くなっていた。
あれから何年経ったか…おそらく、もうあの老夫婦もご存命ではないだろう。
時折、当時を思い出して女将さんの真似をして丼に鰹節のシンプルうどんを作っている。
が、あの味を再現するには至らずにいる。
そんなうどんを私の親父は旨いと言ってくれたが…女将さんの味はこんなのではなかった、と少し寂しく笑っている。
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