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    • 2013/2/25 2:11
    • 青薔薇姫⑩
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    •  ――それだけで幸せでした――

       想いの片隅から、ふと現れたその声をなぞり、目の前にいる姫を抱き寄せた。
      「柳の腕の中は、貴女の為だけに存在する国です。自国の姫君をお守りするのが、王子の役目」
      「王子様…好きよ」
       何度、口にしても恥ずかしい。一番大切な秘密を暴露して恥ずかしいのか、彼の甘い返事を期待して恥ずかしいのか、よく分からず、耳まで熱くなる。耐え切れず、姫は柳の胸に顔をうずめた。
       …はずだったが、彼の唇に捕らえられる。お互いの唇を、確認し合うような口づけ。幻ではないと確信するまで、いつも時間がかかる。口の中まで熱が混ざり合い、暑くて全身が溶けそうなのを、姫は必至で堪えた。どうやら、柳の腕の中は、常夏の国らしい。

      「姫様、愛しております…」
      「…うぷっ!」
      「…え?姫様…!?」
      「き、気持ち悪い…」
      「ももも申し訳ございません!! 無礼をお許しください!!」
      「あ、ごめん。違うのよ。最近、吐き気が多くて…」
      「えっ」
      「食欲もなくて…。でも、お蜜柑なら、何個でも食べられるわよ」
      「…姫様。午後から、主治医に来て頂きましょう。良い事があるかも知れません…!」

       ――ピピッ!
       いつの間に入って来たのか、窓辺に一羽のセキレイが止まっていた。しかし、二人の視線に気付くと、すぐに飛び去ってしまった。セキレイは窓辺に置いてある、ガラスケースに入った指輪を見ていたのだろうか。二つ並んだ小さな指輪は、太陽の日を受け、微笑むように優しく煌めいていた。


       世界を変えたいと願った姫と、世界を敵に回しても姫の味方と誓った王子。
       時代が流れ、そこには言語に絶するほどの傷を負い、返り血を浴びた二人がいた。

       ――そして2033年春、この国初の女性総理大臣が誕生する。

                                完

       ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
      「シリアス」がついに完結。気が付いたら、すごいボリュームに…(汗そして柳の下の名前には、大変苦しめられました~。まさか出るとは。しかし、本編には出ない…。使いづらいっ。
      「ランスロット」は、トランプのクラブのジャックのモデルになった騎士の名前です。柳のフルネームを「ゲマトリア数秘術」で数値変換すると11になったので、この名にしました。
       そうそう、古事記にセキレイが出て来ましたね。ん~~…。そして、なんちゃって輝彦も乱入w
      「執事の正しい萌やし方」の方は、まだ続きます。これからも、どうぞ宜しくお願いします!

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