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    • 2013/2/25 2:09
    • 青薔薇姫⑨
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       ――世界を変えたい――

       あの日、彼女の胸に生まれた小さなその光は、日に日に輝きを強くしていった。元執事の柳を、私設秘書に配し、刻苦勉励の末、翌年の衆院選で、残りわずかな議席を勝ち取る。
       現在、姫は女性議員6名で構成された『おおはし党』の代表に就任していた。
      「厚生労働省が発表した、昨年度の雇用均等基本調査によると、一般企業で管理職に占める女性の割合は8.7%。権限、決定権を持つ90%以上は男性、か…。女性の意見が通りづらいのは、当然だわ。そして、改革という名の下で、所得格差が広がっている。その裏では、議員による腐敗や癒着、既得権益の保護、権利誘導などが…」

       ――コンコン
      「失礼致します。先生、本日10時30分より、国会内で厚生労働副大臣との会談があります」
      「そうね。そろそろ出発の準備をしましょう。…あっ」
      「姫様!」
       屋敷の資料室で(大半はこの資料室で過ごしている)、分厚いファイルを読み込んでいた姫が、椅子から立ち上がると同時によろめき、柳は慌てて駆け寄った。

      「姫様…。最近、お身体の調子が、優れないのではございませんか?お食事も、あまり喉を通らないご様子…」
      「…大丈夫よ。心配しないで?」
      「ですが…」
       薬指で光る指輪を見つめながら、柳は愛おしそうに彼女の手を撫でた。指輪の内側には、結婚相手の誕生石、サファイアが埋め込まれている。

      『姫様』それは唯一、口にする事を許された、愛の言葉。姫様と呼んだあの瞬間から、そこに血が通い脈を打ち、凄惨な未来の映像に凍える心を、何度も温めてくれた。

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