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    • 2013/8/19 18:26
    • 頼まれて書いた作品part2
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    • 「ぼくにはなんでパパがいないの?」
       もう何度この言葉を聞いただろうか。
       もう何度この返事をしていないのだろうか。
       私はこれからもずっと息子を苦しめていくのだろうか。
       弘樹を産んだのは間違っていない。妊娠したことを伝えたら下ろせと言われて喧嘩して彼氏と別れたことに後悔してない。でもこの道も果たして正解なのだろうか。息子を苦しめているのに。
       虚ろな目で遠くを眺めていたら公園の隅にいる猫を見つけた。一匹でゴミ箱をあさっていた。立っているのが精一杯なほどやせ細った足を震えさせながら餌を探している。
      「ママ、なんで泣いてるの?」
      「えっ?」
       ほんとだ、涙が流れてる。頬をつたう涙の感触がくすぐったくなってきた。
      「ねー、なんで泣いてるの?」
      「幸せだなーって思ってママ泣いちゃったの」
       ひとりじゃない。あの猫みたいに。
      「ごめんね、パパいなくて。でもママがパパの分もするから」
      「……うん、わかった」
       弘樹も泣いていた。でもそれでいい。無理に笑わなくていい。二人で泣けるならそれでいい。
       しばらく涙を流していたら、ふと思い出した。
      「あ、そういえば、クレヨンしんちゃんの映画観にいこっか?」
      「……え、いいの!? しんちゃんの真似するから見ちゃダメって言ってたのに」
      「たまにはいいわよ、真似しても」
      「やった! ママ、ありがとう」
       弘樹が手を力強くつかんできた。私はぎゅっと握りかえす。
       ベンチから立ち上がって空を見上げる。すっと雲間に差し込む太陽の光がいつもより眩しく思えた。

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