ピケルさんとモバ友になろう!
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- 2013/1/29 1:17
- 読まない方が良いかもだわ
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- ある日の真夜中、花を摘んだ
それは綺麗な花だった
見たことがない魅力満ちあふれた、希望の花
それを私は家へ持ち帰り、私が知る高価な花瓶に花を活けた
水を換えて欲しいと花が願えば私は花瓶の水を換え
香りを嗅ぎたいと私が願えば花は身を委ねてくれた
だが私は過ちを犯した
花の摘み方を知らない
茎をちぎって摘んだと言った
初めては分からない物だと自分に言い聞かせたのは、花が萎れ始めた頃だった
水を換えることも少なくなっていき、香りを嗅ぐことも少なくなってしまった
次第に花は弱り、花弁も一枚、また一枚とパタリパタリと朽ちてゆく
美しかった花弁は醜いゴミへと変貌する
枯れ落ちた花弁は醜いゴミとして、払い捨てられた
とある時、私は花弁に触れた
それは優しくはなく、荒々しい手付きで
花を、強く、強く求めた
藁にでも縋る思い、といった感情で
花瓶が、倒れた―
水はこぼれ、花は更に散った
私は、そこで、過ちに気付いた
花の命を奪ったのは私だと
しかし花は文句も言わず、ただただ私を癒すために居るかの如く、私を見守ってくれた
その花を、私は私自身の手で殺めてしまった
私は、理解した
美しかった花弁
落ちてゴミとなった花弁だったもの
生きるものから朽ち落ちたものは、そのものの死した姿と同じもの
人の爪、髪
人はそれを嫌悪する
死んだ自分を見たくないから
だが、花は違った
僅かな力のその先に、新しい命を作っていた―
花は、自分で種を撒いていた
希望の種か、絶望の種か
それは私には見えない…
それは
神のみぞ知る―――
- ある日の真夜中、花を摘んだ