「わか!」さんとモバ友になろう!
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- 2020/6/2 5:02
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- 「貴方に逢いたいヒトがいるのよ」
茶番じゃあるまいし、もしかして・・・
待ち合わせはローカル線の終着駅。
有名温泉の最寄り駅なんだけどコレも何かの影響か?
賑わいの回復は相当な時間が掛かりそうやな…。
汽車はとっくに着いている筈なのに彼女が見当たらない。
ドタキャンか?事故か急病か?どうした?
でも雲行きは怪しく無い。お天気お姉さんも『晴れ』って云ってたw
居所確認は通話より文字が良かろうと待合室で指を滑らせていると、跨線橋にいつもの大きなバッグを持ち、生あくびで大空を吸い込みながら降りて来る客が見えた!
なぁんだ、やっぱり1人やん。
うたた寝してたんだろ?右頬のホクロにハンカチ跡が証拠だ。
「バッグにオトコを詰めてきたん?」
「そうよ」
先制口撃にハスキーボイスがすかさず応戦してきた。
「早く逢わせてくれ」
「じゃー、コレお願い」
足でトランクを開けて出張グッズ満杯の鞄をお供に硫黄臭たっぷりの街を目指した。
温泉体感コーナーは小さな湯桶に注意と規制の貼り紙。
洗顔や手洗いは大丈夫そうだ。
折角だからと、両手肘まで熱い温泉を楽しんでると、
「腕時計、壊れちゃうでしょ!」
訓告の口調は相変わらず厳しいデス。
人気の和菓子屋の店先にある蒸し器だけは非常に元気良く『ネ申対応』中。
想像を超える街並みの静けさがマンホールの水音を大きくし、ふたりの時間を短くした。
「ありがとな」
「・・・」
感謝より謝罪の気持ちでいっぱいだ。
揚げ饅頭を食べながらの源泉公園、彼女の疲れ顔を隠しきれない強い日差しだった。
臨時的な変則勤務で体調が整わない事は予想していたが誘ったのは俺だし、
「自分の事しか考えなくて」
「判ってるわよ」
「・・・」
「いいの、ダイジョウブだから」
Web回線では伝送出来ない小さいため息が聞こえた。
「またいつもの口癖か?」
「ナマで聴きたかったんでしょう?」
仰る通りでございます。
また明日からカクカク画面付きの会話になるだろう。
もうチョッと一緒に居たくて少し離れた駅まで大きな荷物を下ろさなかった。
- 「貴方に逢いたいヒトがいるのよ」