あーΤΑЙさんとモバ友になろう!
日記・サークル・友達・楽しみいっぱい!
-
- 2014/9/8 23:53
- 彼女と新宿とホーム
-
- コメント(2)
- 閲覧(6)
-
-
- 早朝5時半過ぎ、彼女は新宿駅のトイレに居た
トイレには若いとも老けているとも言えないショートカットの女性がスマホを鏡代わりに顔を覗き込んでいる
美人とは程遠い顔だった
何をしているのか分からない
彼女がトイレから出た後も
さっきと変わらね姿勢だ
他人からどう見られようと気にしない
そんな感じ
ふと自分の手の匂いに嫌悪する
唾液が乾いた酸いた匂い
まだ残っているのか…無かったことにしてもいい
数時間前の行為を思い出す
この匂いで何度も吐き気を感じた
手を洗う
だが、石鹸がこのトイレには無かった
電車が来るまであと20分
始発を待つ
20分位の待ち時間は彼女にとって苦痛ではない
ホームに向かう階段でちょうど駅員がロープを外していた
一番乗りだと思った
けれど駅員は不思議そうに彼女を見る
何かが噛み合わない
ホームの番号は間違っていない
彼女は時間を1時間間違えていた
さっきまで一緒にいた男も気がつかなかった
まぁいい、そんなこともある
非日常の朝
そんなものだ
ホームを変えた
通勤の人がぱっと見多い
けれど、グルリと見回してみてもみんな意思の無い顔をしている
気味が悪い
新宿の朝のホームはこんな光景が毎朝繰り返されているのだ、きっと。
彼女だけが冷静に状況を見つめていた
彼女だけが意思を持っていた
彼女の居場所だけが新鮮な空間だった
- 早朝5時半過ぎ、彼女は新宿駅のトイレに居た