タムケンさんとモバ友になろう!
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- 2013/3/10 6:46
- スターティング・オーヴァー その5
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- 31 :名も無き被検体774号+:2012/10/18(木) 23:40:57.87 ID:oIV6bjxg0
秋頃になって、僕の頭の中で何かが切れた。
その頃になると、僕はほぼ引きこもりになっていて、
ほとんど大学には行かず、一日中安酒を飲んで、
ろくに食事もとらず、寝てばかりいたんだ。
このままじゃ発狂すると思ったね。
何をしていても、例のドッペルゲンガーと、
今の自分とを比較してしまうんだ。
そうすると、それまで当たり前だったことさえ、
急に耐えられなくなっちゃうんだよ。
32 :名も無き被検体774号+:2012/10/18(木) 23:45:07.18 ID:oIV6bjxg0
変なところで、僕は冷静だったんだよ。
今の自分が、彼女にふさわしい男ではなくて、
分身に勝てないことは、重々承知していたんだ。
でも、その上で考えたやり方と言うのは、
とても正気の沙汰とは思えなかったね。
つまり僕は、僕の代役を務めるあの男を、
ぶっ殺してしまおうと思ったわけなんだ。
そしたらあの子も、また寂しくなって、
僕の方に傾くんじゃないか、ってね。
いやあ、追い詰められた人間ってのは、
本当にろくなことを考えないよ。視野が狭くて。
35 :名も無き被検体774号+:2012/10/18(木) 23:52:36.82 ID:oIV6bjxg0
そういうわけで、僕の恋人奪還作戦が始まった。
別の言い方をすれば、ドッペルゲンガー殺害計画。
以後、僕は定期的にその男を尾行するように
なったんだけど、おかげで引きこもりが治ってさ。
皮肉なことに、殺害計画を思いついてから、
しばらく僕の性格はとっても明るくなるんだよ。
妹に指摘されて、僕は自分の変化に気付いたんだけど、
――そう、すっかり妹の話を忘れていた。
僕に匹敵するくらいの変化を遂げた妹の話。
36 :名も無き被検体774号+:2012/10/18(木) 23:55:11.44 ID:2qLC+8Wz0
ドッペルゲンガーって出会うと死ぬんじゃなかったっけか
37 :名も無き被検体774号+:2012/10/18(木) 23:58:10.82 ID:oIV6bjxg0
本来、僕の妹は、運動と太陽をこよなく愛していて、
年中健康的に日焼けしている、活発な女の子だった。
ところが二周目においては、僕の影響を受けたのか、
読書と日陰を好む、色白の眼鏡の子になったんだ。
一周目を知る人から見たら、何かの冗談みたいだよ。
兄妹揃って暗い人間になって、家は毎晩お通夜みたいだったな。
両親も自分に自信がなくなったのか、嫌な人間になっていった。
いやあ、人一人の持つ影響力ってのは、馬鹿にならないね。
- 31 :名も無き被検体774号+:2012/10/18(木) 23:40:57.87 ID:oIV6bjxg0