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- 2015/12/13 18:31
- 魔術師探偵異聞録3-166
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- 「あ?オレは仕事中だぞ、小僧」
携帯灰皿に煙草をしまいながら、桐生は川岸に降りて来た。
「こんなトコで油売りながらじゃ、説得力ないぜ?」
結縁は精一杯の皮肉を込める。
と、
「んなっ!?」
後から驚く声が聞こえた。
見ると、岸辺で水筒とコップを手にして固まった菜々美が居た。
「よう。奇遇だな」
桐生は笑いを堪えるような表情で菜々美に声を掛ける。
「な、ななななんで此処に居るの!?」
慌てる菜々美はコップから水を溢しているが、それどころではない。
「町内会行事で川掃除をやるって言うからよ、事故がないか見回りをするのも、警察の仕事だ」
桐生は新しい煙草に火をつける。
「そしたら見知った銀髪2人組が居るから、ついでにからかいに来たんだよ。それにしてもお前、」
桐生はまだ動揺を隠せない菜々美の足下から頭まで見ながら。
「今朝は随分と粧し込んで出掛けなかったか?」
桐生の表情は若干ニヤけていた。
「ちゃんと朝一に誉めてもらったの!」
菜々美は桐生に噛み付きそうな勢いだ。
「そうかいそうかい。良かったな。で、小僧?」
「ん?」
「結縁さんを小僧って呼ぶな!」
桐生は吠える菜々美を無視して、
「今日はどんな魔術を使ったんだ?我が家の跳ねっ返りのじゃじゃ馬が奉仕活動してるなんてよ」
「ちょっ!?結縁さんに変なコト吹き込まないでよ!お父さん!」
菜々美は慌てて桐生と結縁の間に割って入る。
桐生菜々美。
桐生宗助の娘である。
- 「あ?オレは仕事中だぞ、小僧」