ファルコンさんとモバ友になろう!
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- 2013/12/16 18:53
- プロローグ2
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- ──身勝手なのはわかっている。でも、彼にならできるはずだ。自分にできないことを、いともたやすくこなしてしまう。
「そうだね。確かに僕の力なら、この状況を打破する可能性が少なからずある。けどさ、それと同時に僕自身が死んでしまう可能性もあるんだ。そんなデメリットを抱えているにも関わらず、成功した際のメリットが全くと言っていいほどない。ハイリスク、ノーリターン。こんな賭け、賭場狂いだってやらないよ」
──自分のため? 我が身可愛さのために、目の前の人を見殺しにする?
「そうだよ。君は他人のために身を挺する博愛主義者かもしれないけど、僕は違う。君が他人のために命を捨てるのは勝手だけど、僕に同じことをしろっていうのは、いくらなんでも勝手がすぎるんじゃないかな?」
──なら、なら一体どうすれば……。
「君に選択肢をあげよう。一つ目は、僕と一緒にここから逃げること。君一人くらい連れて逃げる余裕はあるんだ。ここでこうしているのも何かの縁かもしれないし、君だけなら助けてあげてもいい。デメリットもないしね」
──逃げる? この人たちを見殺しにして?
「気に入らないかい? なら二つ目、あの獣を殺して皆で助かる。まぁ、もう手遅れの人は助けられないけど、何人かは救えると思うよ」
──そんなことができるの?
「うん。方法が一つある。聞きたいかい? あまりお勧めはしないけど」
──教えて。
「そうか、聞いてしまうか。まぁ、君が望むならしょうがない。それはね、君が命を捨てることだ」
──え?
「君が死ぬことによって、今死ぬはずだった人たちが助かる。そんな力を僕は持っている」
──なに、それ?
「さてね。僕にもよくわかっていないんだ。理屈が通用するようなものじゃないからね。そういう力としか言いようがない。けど、もたらす結果はわかっている。君が死んで、他人が助かる。それだけわかっていれば十分だろう?」
──どうすればいいの?
「選べばいいんだよ。見殺しにして逃げるか、死んで助けるか。どうする? 君は方法を知ってしまった。今の君は、彼らを救うすべを知っている。力がないからしょうがない、なんて言い訳はもう通じない。さぁ、選ぶんだ」
「あたしは……」
少女は拳銃を手にした腕をゆっくりと上げていき、銃口を自身に向ける。そして、躊躇いもなく引き金を引いた。
- ──身勝手なのはわかっている。でも、彼にならできるはずだ。自分にできないことを、いともたやすくこなしてしまう。