ファルコンさんとモバ友になろう!
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- 2013/12/16 18:50
- プロローグ1
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- 少女は自身の無力さに絶望していた。
彼女の視界には、二メートルほどの巨体をもつ獣が二足で歩き、人を襲い、喰らっている様子が映っている。
少女は震える手で拳銃を構え、獣に向かって発砲する。しかし、弾丸は獣の体を貫通することなく弾かれてしまう。理不尽なほど強固な肉体。少女にはどうすることもできない。目の前で人が襲われているのに、見殺しにすることしかできない。せざるをえない。
少女の隣には、一人の少年が佇んでいた。彼は涼しい顔をして、へたり込んでいる少女を見下ろしている。
少女は少年を恨めしそうな表情で睨む。
──何故、助けようとしないのか。
彼の力があれば、目の前の人々を救ってあげることができるのに。何故、見殺しにするのか。
「あまり買いかぶらないで欲しいな。僕はさして強くないよ。それに、見殺しにしているのは君も同じじゃないか」
──望んでこうしているわけじゃない。できることなら助けたい。力があれば、自分に力さえあれば。
「力があると責められて、力がなければ責められないのか。強者の見殺しは人殺しで、弱者の見殺しはしょうがない、と。君はさ、弱者が強者に救われるのが当たり前とでも思っているのかな?」
- 少女は自身の無力さに絶望していた。