不協和音§さんとモバ友になろう!
日記・サークル・友達・楽しみいっぱい!
-
- 2012/12/31 16:59
- 極限の暇潰し②
-
- コメント(1)
- 閲覧(12)
-
-
あれから、どれほど歩いたのか。
進めど進めど、霧の中。
方角なんてわからないし、ここが密林のどこなのかもわからない。
ふと、隣の赤髪が止まる。
「もーやだよぉ…こんなジメジメジトジトした、薄気味悪い変な場所歩くの……」
鼻声のリゼが、さめざめと嘆く。
確かに、こんな場所はもうこりごりだ。
辺りは真っ白、音は足音と話し声だけ。
精神的にも、肉体的にも疲弊するこの密林の中で、ただ二人きり。
どうしたものか……
「……泣くな、リゼ」
無愛想ではあるが、少し乱暴ではあるが、頭を撫でて宥めるナダル。
「大丈夫だ。きっと抜け出せる」
掛けられる言葉は、最早それしかなかった。
……とりあえず、何とかして手掛かりを見つけなければ。
何とか落ち着いたリゼを伴い、再び歩を進める。
あてもなく、希望もなく、気力も体力もない。
いよいよ、進退窮まったかと思い始めた、まさにその時であった。
隣のリゼが、くいくいと腕を引く。
「ナダル……何かいる」
先程の様子とは打って変わり、警戒を強めるリゼ。
「それは確かなのか?」
訝りながらも、同じく警戒するナダル。
「間違いないよ。はっきりとは解らないけど、何かいる。」
「わかった。やれるな?リゼ」
「勿論」
ナダルの腕を離し、何処からか自身の身長より大きい斧を取り出す。
「それだけやる気があれば、何とかなりそうだな」
ナダルも、何処からか長剣を取り出し、構える。
それを見計らってか、白い闇の奥からけたたましい咆哮が響き、霧が急速に晴れる。
「……こいつが元凶か」
「何あれ…気持ち悪っ……」
うぇっ、と顔をしかめるリゼ。
この霧の奥にいたのは――