不協和音§さんとモバ友になろう!
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- 2012/12/31 0:42
- 極限の暇潰し
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――鬱蒼と生い茂る草木
辺りに立ち込め、澱んでいる湿った空気
視界を遮る白い闇
生物の鳴き声はおろか、草木のさざめきさえない、静謐とは違う不気味な静けさが、そこにある
「ねぇ、どうすんのさー?このままじゃ、のたれ死ぬしかないじゃん……」
その静寂を破る、疲労と不満が混じった声と足音
「そうだな」
そっけなく、しかしこちらも疲労を浮かべる声と足音
――この密林に入って、既に3日が経つ
地元の人間との話では、これほどの濃霧になるとは聞いていない
おかしい
霧が出る事自体に疑問はないが、何故……
「2日も霧が晴れないとはな……」
背の高い、短い黒髪の男――ナダルが、口元に手をやり、呟く
「ほーんと、なんでだろうねー……」
その隣、ナダルの腕に自身のそれを絡ませる、赤髪の女――リゼが、気だるげに同調する
「事前調査でも、ここで霧が発生した記録なんて、ここ数年なかったのにね」
「それに、まるで生き物の気配がない……。どういう事だ?」
彼らは、国から派遣された調査員――サーチ・アイ
国内の異変、異常を調査、観測し、可能であれば解決するという、国民の味方だ
今回彼らが受けたのは、国土の端、国境付近の密林の調査
以前から、近くの村や街にたびたび、モンスターが入り込むようになったとの報告を受け、生息地とおぼしきこの密林の生態調査を行っていた
だが、全くと言っていいほど、生物と遭遇する事は無く、調査開始2日目からは、濃霧が辺りを漂うという、面倒な事になった
「ナーダールー…アタシ帰りたいよぉ……」
ぐずぐずとごねるリゼが、ナダルの腕をぐいぐいと引っ張る
それを宥めるように、空いている手でリゼの頭を撫でるナダル
「その為に今、出口を探しているんだ」
淡々と言う口調は、硬い
一体、何がどうなっているのか……
まだまだ、調べなければならない事があるようだ――