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- 2012/12/26 18:30
- ある夏の純情~6~
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『リンク:~5~』
「……」
無言無表情で「太鼓の超人」を完璧にキメるサマは、はっきり言って凄かった。
「……なんかつまんないわね、ゲーセンって。もう少し楽しいものだと思ってたんだけど」
ゲーセンからの帰り道、純夏がポツリと言う。
「そりゃ、何でも一発で完璧にキメてたら楽しいもんもつまんないだろ」
(その分金はかからないけどな……)
実際純夏は、クレーンゲームでは狙った物を一発でとり、ホッケーでは、多少腕に自信があったはずの俺に完封勝利し、見事に俺の心をへし折った。
「まあいいわ。今日はありがとう。じゃ」
純夏はそれだけ言って帰ろうとする。
「ちょ、純夏待てって!」
俺は慌てて純夏を引き留めた。
「何?」
「『何?』じゃねーよ。なんなんだよいきなり『ゲーセン寄ってかない?』って。付き合ってやったんだから理由ぐらい説明しろよ」
純夏がいきなりゲーセンに来たがった理由は分からないまま。気になった俺は純夏に聞いた。
「今後行く機会もないだろうし、嫌な思い出で終わらせたくなかっただけ。それだけよ。じゃあ、今度こそ私帰るから」
1つため息をついて答え、純夏は歩き去っていった。
「嫌な思い出って……」
きっと前にゲーセンに来たときのことだろう。それが何年前なのかは知らないけど、その頃から純夏の両親は仲が悪かった、ということだろうか。
「ま、俺には関係ないし」
そう呟いて、俺も家に帰った。『リンク:~7~』