(・、・ )さんとモバ友になろう!
日記・サークル・友達・楽しみいっぱい!
-
- 2025/5/29 6:21
- 第三章 おひるねの時間
-
- コメント(0)
- 閲覧(2)
-
-
- 午後の光が、カーテンを透かして部屋の空気をやさしく照らしていた。
ことはは読みかけの本をそっと閉じて、隣にいるひかるをちらりと見た。
ひかるは、座椅子に深くもたれて、もうまどろんでいるようだった。
手の中のスマホがゆっくり滑り落ちて、ことははそっとそれを拾った。
「……おやすみ」
声に出さずにつぶやいて、ことははそのままひかるの隣に腰を下ろした。
時間が、ふたりだけを包むように流れていく。
エアコンの風の音と、ひかるの浅い寝息。
それだけが聞こえる。
「寝てるときの顔って、ほんと無防備」
そう思いながらも、ことははうれしかった。
「こんなふうに、隣にいられることが、わたしにとっての幸せなんだ」と、あらためて思えた。
そのまま、ことはもうとうと目を閉じる。
どこか遠くの夢のなかで、ひかると話しているような気がした。
「ここにいていいんだよ」
「うん、いてくれてありがとう」
目が覚めたとき、光の角度が変わっていた。
ひかるがことはにブランケットをかけていて、ことははそれを見上げながら小さく笑った。
「おひるね、すごくきもちよかったね」
「うん、夢の中でもとなりにいた気がした」
ふたりは見つめ合って、小さな笑みを交わした。
何も特別じゃない、けれど、確かに温かい午後だった。
ねいきの おと
ひかりの すじ
ふたりの まどろみ
ことばは もう
いらなくて
ゆびさきが
あたたかい こと
ただ しってるだけで
めをとじたまま
「ここにいていいよ」
きみが いってくれた
ゆめより やさしい
おひるねの とき
- 午後の光が、カーテンを透かして部屋の空気をやさしく照らしていた。