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- 2025/5/29 6:17
- 第二章 たまごやきの朝
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- 朝の光がカーテン越しに差し込んで、ことはは少しだけまぶしそうに目を細めた。
ひかるが台所でフライパンを振る音が、やわらかく聞こえてくる。
「…いいにおい」
そうつぶやくと、ことはは小さく伸びをして、ベッドからそっと立ち上がった。
リビングの椅子に腰かけて、背中ごしにひかるを眺める。
少し寝ぐせのついた後ろ髪が、朝のひかりにきらきらして見えた。
「今日のたまごやき、ちょっと甘めにしてみた」
振り返ったひかるが照れくさそうに言うと、ことははにこっと笑ってうなずいた。
ふたりのあいだに、もうあたりまえのようにある“ふつうの朝”。
でも、その「あたりまえ」が、いちばん欲しかったんだって──ことはは思う。
「ねぇ、なんでこんなにおいしいの?」
「そりゃ…ことはが隣にいるから、かもね」
ちょっとだけ気恥ずかしいその言葉も、なぜか今朝はすっと心に溶けていく。
そのあと、ふたりはお皿を洗いながら、今日の予定を話した。
たいしたことじゃなくていい、ただ一緒に過ごす時間が、何よりの“ごちそう”だった。
ことはは小さく思った。
「きっと、わたしは、今日という日を忘れない。」
あさの におい
きみの こえ
なべの うた
くるくるまわる
ふらいぱんのなか
きいろいきもち
わらうと
きみが ちょっと
まぶしくて
ことばより
しずかに しあわせが
とけていった
ふたりぶんの たまごやき
まいにち あしたの たね
- 朝の光がカーテン越しに差し込んで、ことはは少しだけまぶしそうに目を細めた。