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- 2025/5/26 9:01
- 第六章 お母さんのいない日
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- 光葉は、まだ小さな手で折り紙を折っていた。
ひまりは、時計の針をずっと見つめていた。
星奈は、静かにノートを閉じた。
おかあさんが名前を呼ばなくなってから、三日目。
「おかえり」と言われても、
その声はまるで誰かに教わった挨拶のように感じた。
「ねぇ、また名前、忘れちゃったの?」
光葉の問いかけに、ことはは少しだけ黙った。
答えようとして、やめた。
笑おうとして、できなかった。
ただ、子どもたちの顔を見つめることしか、もうできなかった。
夜。
三人はこっそりと、小さな手紙を書いた。
「おかあさんへ」と書いて、引き出しの中にそっと置く。
「ねぇ、また明日、光葉って呼んでね」
「ぎゅーってしてくれるだけでいいからね」
「わたしたち、おかあさんのこと、だいすきだから」
ことははその夜、
なぜ涙が出るのかも、少しわからなくなっていた。
けれど手紙を読むたび、心の奥がじんわりと濡れていく。
何かをなくしていくこと。
でも、それでも、何かにすがるように残そうとすること。
それは、愛の形かもしれなかった。
- 光葉は、まだ小さな手で折り紙を折っていた。