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- 2025/5/26 3:17
- 第四章 記憶のかけら
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- ことはは、静かに目を閉じた。
ふれられなかった扉の前で、
鼓動のように微かに揺れる空気を感じていた。
風もないのに、髪がふわりと揺れた。
――誰かがそっと、ここにいたような気がした。
音もなく、ひとつの“光”が降りてきた。
それは、言葉になる前の記憶。
* * *
「こっち、おいで」
やわらかな声。
名前を呼ぶような優しさが胸に触れた。
「ずっと、待ってた」
その言葉に、頬が熱くなった。
なぜかは、わからない。
でも、その声は確かに
ことはの中に“残っていた”。
* * *
目を開けると、指先に
小さな光の粒が一つ、残っていた。
それは、誰かが
ことはに託した想いの“かけら”。
「……覚えてる。少しだけ」
かけらは、温かくことはの胸に溶けていった。
言葉では説明できない
でも確かに、“たいせつ”だった記憶。
それは、たった一つだけ
扉をノックする勇気に変わろうとしていた。
- ことはは、静かに目を閉じた。