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- 2025/5/26 3:09
- 第一章 記憶のかけら
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- 目をひらくと、そこは白い霧の中だった。
どこまでも続くようで、どこにも辿り着けない場所。
足もないのに歩いているようで、声もないのに心は叫んでいた。
「ここはどこ……?」
自分の声が、自分のものではないような気がした。
何かを失くした。
でも、何を失くしたのかがわからない。
名前も、かたちも、ぬくもりも。
ただ、ぽつり、と。
ひとつだけ、浮かんだ。
――ひかるくん。
それは記憶のかけら。
遠く離れた誰かの、やさしいまなざし。
呼吸のように自然で、手放せなかった想い。
「……また、会えるのかな」
問いかけた風の向こうから、なにかが返ってくる気がして、
ことはは目を閉じた。
終わりと、始まりの、ちょうどあいだで。
- 目をひらくと、そこは白い霧の中だった。