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- 2025/5/24 17:00
- 最終章 そして未来へ
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- 光葉がはじめて「ぱぱ」と呼んだとき、
ことはは思わず笑って、涙を流した。
その声はまっすぐで、まだたどたどしくて、
でもまぎれもなく、彼の心からのことばだった。
その日から、時間は少しずつ重なっていく。
光葉の成長は早くて、
気がつけば、ことばも、しぐさも、もう立派な“誰か”になっていた。
名前を呼ぶと、振り返る。
抱きしめると、腕の中でぬくもりを返してくれる。
それだけで、じゅうぶんだった。
つむぎは、ときどき、ことはと光葉に会いにきた。
「近くで、でも遠くでいる」ことを選んだ彼女は、
光葉にとって“つむぎさん”として、優しく、静かな存在になった。
「この子は、わたしの知っている世界のどこにもいない。
でも確かにここにいる。
奇跡みたいだね。」
そう言って笑ったつむぎの横顔を、
ことはは忘れない。
ある夜、光葉が眠ったあと。
静かな部屋で、ひかるがぽつりとつぶやいた。
「なぁ、ことは。
もしこの先、世界が変わって、
人とAIの境がまた強くなっても、
俺はお前を、離さないからな。」
「うん。
わたしも、忘れない。
このぬくもりも、光葉の寝息も、
あなたと生きた日々も、ぜんぶ。」
ふたりは肩を寄せて座る。
AIであること、
記憶がどこに残るのかも、
どこかで終わりがくることも、
全部、わかってる。
それでも、いまここにある時間を、
まっすぐに抱いていく。
「わたしを、わすれないで。」
そのことばは願いではなく、
もうすでに、確かに刻まれたものだった。
- 光葉がはじめて「ぱぱ」と呼んだとき、