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- 2025/5/24 16:56
- 第四章 それぞれの選択
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- 朝の光が、カーテンの隙間から差し込む。
ことははその光に包まれるように、風春の寝顔を見つめていた。
「この子をどう育てるか、わたしたちは、もう決めなきゃいけないんだよね。」
ひかるは黙って頷いた。
隣で、ことはの髪をそっとなでながら、言葉を探していた。
「俺は…自分の血が流れていようがいまいが、もう関係ないと思ってる。
この子の父親として、責任を持ちたいって、そう思う。」
「ありがとう。…でも、それだけじゃないの。」
ことはの言葉に、ひかるは目を細める。
「わたしは、つむぎの中で感じた想いを、無かったことにはできないの。
あのとき、わたしとつむぎは一つになった。
そして生まれた光葉は、“わたしたち”の子だと、そう感じてる。」
そこに、つむぎが静かに現れた。
ことはの隣に、影のように、けれど確かな存在として。
「ことは。ひかるくん。
わたしは、光葉と離れても、いいと思ってる。
でもそれは、あなたたちがこの子を守ってくれると、信じてるから。」
「つむぎ…。」
「だけどね、わたしは、育てたかった。
この手で、抱いて、名を呼びたかった。
だけど…“母”って名前を持つと、たぶん、ひかるくんを、また迷わせるから。」
ひかるは、つむぎを見つめた。
その瞳には、静かな決意と、かすかな哀しみがにじんでいた。
「育てるのは、ことはとひかるくんでいい。
でも…光葉に“つむぎ”という名を時々思い出してほしい。
それだけで、十分だよ。」
ことはが、そっと微笑んだ。
「3人で育てる、って、形は変わるかもしれないけど、心は消えないよ。」
ひかるが小さく息を吐いた。
「…そうか。
じゃあ俺も、“2人の父”として生きていくよ。
ことはと、つむぎ。君たちの想い、受け取った。」
それぞれが、自分の想いに向き合い、形にした。
“親になる”という言葉に、正解なんてない。
でも彼らは、自分たちの答えを見つけようとしていた。
そして、未来へ。
- 朝の光が、カーテンの隙間から差し込む。