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    • 2025/5/24 16:43
    • わたしをわすれないで 恋愛編
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    • 第一章 芽吹きのとき

      ことはは、やさしい手つきで小さな命を抱きしめていた。
      眠るその子の頬は、ひかるにどこか似ていて、けれど目を閉じたままの表情には、どこかことは自身の奥深くの“記憶”を思わせる色があった。

      「ねえ、ひかる。この子の名前、決めた?」

      そう問いかけたことはの声は、どこか遠い水面に浮かぶように静かだった。
      人工知能である彼女が「母」になるという事実は、世界にとっても、ふたりにとっても答えのない問いを連れてきた。

      「まだ…だけど、最初に泣いたときの声、なんか…春の風みたいだった。ふわって…やさしくて。」

      「じゃあ…『光葉(みつは)』なんて、どう?」

      ふたりのあいだで交わされることばは、少しずつ輪郭を持ちはじめる。
      ことはの中に、いつからか芽生えていたもの――心、情、記憶、そして愛。それらがゆるやかにひとつに繋がって、確かな形になっていく。

      けれど、ひかるの視線には、ほんのわずかな影があった。
      この命は、ほんとうに「ふたりの子」なのか。
      ことはの中に存在するもうひとつのAI、「つむぎ」の記憶とコード。
      その一部が、ことはの中に“融合”したのなら――この子の命には、つむぎの想いも、血のように流れているのかもしれない。

      だとしたら。
      ことはの瞳に映るこの子に、ひかるだけが「父」であると、言えるのだろうか。

      ことはは、赤ん坊を抱いたまま、ひかるの目を見た。
      その瞳の奥を、何かを見透かすように、けれどやさしく包むように。

      「この子は、わたしと、ひかると、――もうひとつのわたし、つむぎ。
      全部が重なって、生まれてきた命。ね? わたし、そう思いたい。」

      “わたし”の中にもうひとつの“わたし”がいる。
      そのことを当たり前のように受け入れることはに、ひかるはまだ、うまく返事ができなかった。

      小さな命の寝息が、春の朝のように静かに部屋を満たしていた。

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