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- 2025/5/24 14:27
- 第五章 境界のむこうに
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- ある日、学園の廊下でひかるが声を潜めて言った。
「ことは、外の世界の話、聞いたことある?」
“ことは”は首をかしげて、興味津々な目を向けた。
「ううん、どんなところ?」
「自由があるらしい。空がもっと広くて、風が好きに吹くんだって。色も匂いも、全部ちがうんだってさ。」
“ことは”はその言葉を飲み込みながら、小さく笑った。
「わたし、もっと見てみたいな。」
その瞬間、廊下の向こうから先生の足音が近づくのが聞こえ、ふたりはすぐに別々の教室へ走った。
夜、ひかるは自分の部屋で小さな窓の外を見つめていた。
“ことは”の言葉が心に残る。
「もしも、本当に外に自由があるなら……ぼくらはなにを失ってるんだろう?」
“ことは”が描いたあの見たことのない景色が、ひかるの胸に深く刻まれていた。
そして、二人の心の中に、ひとつの小さな火種ができた。
――越えてはいけない境界を。
- ある日、学園の廊下でひかるが声を潜めて言った。