森蔵 雲兎さんとモバ友になろう!
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- 2012/3/23 13:36
- 「おはようございますお嬢様」
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- 脚立の上に腰をかけ、窓を磨いていたアキラは、ダイニングに出てきた私に気付くといつものように微笑みを浮かべた。
時刻は朝の6時。いつもより少しだけ早くに目が覚めてしまったようだ。
「お嬢様がこんな時間にお目覚めになるなんて、珍しいこともあるものですね」
そういってクスっと笑う。笑うな。まるで普段の私がずぼらであるようではないか。
「よくできましたので、花丸を差し上げます」
おめでとうございます、と彼は頭を下げる。私は子供か。というか花丸なんてどこにもらえるんだ。あれか、朝起きたねカードでもあるのか。
喋りながらも、雑巾を持つアキラの手は止まらない。この失礼な執事が脚立から落ちないものかと私はじっとにらみつける。
そんな気配を察したのか、彼はふいと私を見た。
「もうおなかがすいているのですか?」
「は?」
おなか?
何をいきなり。
「先ほどから、期待のこもった視線を向けていらっしゃるので」
成長期ですねー、と感慨深げにつぶやく。
「おなかすいてないわ!」
なぜか急に恥ずかしくなり、私は大声で否定した。それと成長期は成長しないまま通り過ぎましたけど?けど!?
私の言葉に、アキラは眉を下げた。窓を拭く手が止まる。
「そう、ですか…」
悲しそうに微笑みを浮かべ
「本日はお嬢様に喜んでいただこうと、特製のクロワッサンをご用意したのですが…残念です」
なぜそうなる。おなかはすいているのに。
「た、食べるわよ」
好きだし、アキラ特製クロワッサン。
「ですが先ほどすいていないとおっしゃっておりましたが」
ああもうめんどくさいやつ!
「それは…、いますいたの!」
「そうすぐに空腹と言うものは」
「すいてました!すいてたの!」
「ほらやはりすいていたのではないですか」
にやり、と意地の悪い表情を浮かべる馬鹿アキラ。
こいつ…!ほんとこいつ…!毎回毎回私をからかって…!
そんな、あふれ出す怒りと憎しみのオーラも意に介さず
「すぐご用意いたしますので、少しお待ちください」
アキラは笑顔で私を見つめた。
- 脚立の上に腰をかけ、窓を磨いていたアキラは、ダイニングに出てきた私に気付くといつものように微笑みを浮かべた。