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- 2010/3/28 22:55
- 怒りのトマト
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- 冷蔵庫を開けたらトマトが怒っていた
まさに顔を真っ赤にして
ここ四日ほど外食が続いていたせいだ
もう２５歳にもなったし、仕事以外の事で怒られるのなんて久しぶり
でも、今回は僕が全面的に悪いからただただひたすら平謝り
「ごめんなさいトマトさん」
弱気な水菜がおろおろしている
まとめ役のレタスが何とかなだめてくれて、トマトの怒りも収まった
キュウリはキュウリでニヤニヤしながら僕の背中を肘でつついてくる
ここまではよくある平和な光景だった…
満月というのは人を凶暴にさせるらしい
何かの本で読んだ
日頃温厚で「仏の海豹」とか「真夏のシロクマ」とか数々の異名を取るオレも例外ではないらしい
『何故外食が続いた程度でトマトごときに説教を垂れられなければならない？』
俗に言う逆ギレだ
まさにキレる若者だ
最近こんな言葉もめっきり聞かなくなったけど
怒りで目を血走らせたオレは包丁を手にトマトに向かう
レタスは今度はそんなオレをなだめようとする
が、
オレはレタスを素手で引きちぎる
その体を一口大にむしり取る
もぎる
そしてサラダボウルを引きちぎったレタスで満たしていく
悲鳴を上げる水菜
金切り声が耳に障る
おもむろに水菜の髪の毛を掴み上げ、まな板に横たえる
これから起こる事を理解し、更に水菜の金切り声が音量を上げる
まずは汚いその足を切り落とし、捨てる
恐怖を煽るように徐々に包丁は頭へ向かって行く
もう二度と耳障りな金切り声を上げる事が出来なくなった水菜をレタスの上に重ねる
そういえば、キュウリもさっきオレを馬鹿にしていたな
狂気はキュウリへと矛先を向ける
震えるキュウリも問答無用でまな板に横たえる
頭と足を切り落とし、３mm程の厚さに斜に切り刻む
数えきれない程の断片となったキュウリはレタスと水菜の上にばらまく
遂にトマトの番がやってきた
真っ赤なトマトは顔を真っ青にしたくても出来ない
だが、真っ青にする事が出来れば顔を真っ青にし、逃げようと慌てふためく
口元に薄らと笑みを浮かべたオレは、そんなトマトを一刀両断する
断面から流れだすトマトの中身
ヘタを切り捨て、更に半分に、更に半分にする
８等分になった説教臭いトマトをサラダボウルの縁に並べる
コレが現実だ
冷蔵庫とまな板の間で繰り広げられる惨劇
次に加害者となるのはこれを読んでいるあなたかもしれない
- 冷蔵庫を開けたらトマトが怒っていた
