Zillさんとモバ友になろう!
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- 2025/6/3 19:20
- その日俺は会社を遅刻した。
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- 気をつけてたのに。
落としてしまったよ。
ワイヤレスイヤホン。
線路に。
睡眠時間が足らない日が続いたからかな。ちょっとボーっとしてたようだ。
駅のホームで充電器からワイヤレスイヤホンを取り出したら、指が滑ってそのままコン‥コン‥コンと弾んで線路にポトって。
「あっ!」って言ったよ。
横にいた人が。
思わず声に出ちゃったんだね。
そう見てたんだ。
うん。
落ちちゃった。
ふぅーっと小さくため息をつく。
ゆっくりとカバンから眼鏡を取り出し、ホームドアの上から線路を見る。
ない…ない…
あ…あった。
枕木の傍だ…
さぁどうする。
寝ぼけた頭に喝を入れ、頭をフル回転させる。
うおおおっちくしょーっなんてことだいっそ諦めて買い替えてしまうかいやいや何言ってるんだ俺は諦めるなんて考えはダメだ買い替えるには勿体ないしなんならホームドアを乗り越えて取りに行きたいよだって見える位置にあるじゃないほら手を伸ばせば届くかもしれないいやとどかないね全然届かないていうか電車が入ってきたら踏まれるだろうかいや大丈夫な気もするとか言ってるうちにあぁほらもういつも乗ってる電車が入ってきたよ会社帰りに駅員さんに拾ってもらうかいやその時間まで無事である保証がどこにあるあっくそっ電車の扉があくぞさあどうする乗るか乗らないかこれに乗らなかったら確実に遅刻だあぁ扉がしまるぞまだ間に合うどうするどうするんだ俺はぷしゅー…
扉がしまった。
ガタンと電車が動き出す。
あぁぁ…
速度をあげていく電車。
さよならだ…。
ホームから電車を見送った。
そう、俺は遅刻をベットしてその場にステイを選択したのだ。
電車が過ぎ去ったあと。
枕木の傍にあったイヤホンを確認する。
無事だ。
さぁて駅員さんに助けてもらおうかな。
その日俺は会社を遅刻した。
- 気をつけてたのに。