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- 2011/7/19 1:00
- 眠れない日に見る時計
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- そう…、眠れぬ夜ってのは誰しもあるだろう。だが、俺にとってその夜は特別だったのさ…。
夏の蒸し暑い真夜中、耳障りな音が俺の安眠を妨げた。
『ぷ~ん』
決して屁ではない…。蚊だ…!!
どうやら俺は昔から蚊に好かれる体質らしい。さながら人間蚊取りだ。親と寝ていた頃も、兄と同部屋の頃も、そして嫁と寝ていても…!!
かつ、この状況。娘もいるので灯りも点けられない。実家なので愛用の電気蚊取り()も無い。金チョールなんてもっての他だ。
俺は苦悩した。
電気を点け、娘を起こしてしまっても蚊を叩き落とすか…。いっその事、この部屋を出てリビングで寝るか…。憎き蚊に血を吸われ、音に耐えながらこのまま眠るか…。
悩み、悶え苦しんでいたその時、いつもの悪態が聞こえてきた。
『何ブツブツ言ってんの!?』
嫁だ。
どうやら俺の苦悩で嫁も起こしてしまったらしい。
ここは仕方ない。人間蚊取りの苦しみを、一般人にも伝えよう。
俺は過去より今に至る苦しみを必死に伝えた。が、しかし、返ってきた言葉はあまりに無情な言葉だった。
『あんた馬鹿じゃない!?じっとしてて、近寄ってきたトコを叩けばいいじゃん』
!?
馬鹿は貴様だ。この薄暗い中、そんな神がかり的な業、出来っこない。カリン様にでもなったつもりか?
しかし、そんな俺の胸中も知らず、嫁は更に無謀な言葉を発してきた。
『あんたは寝てな。あたしが叩いてやるから』
!!!?
馬鹿の極みだ。出来もしない神業を自らやろうってんだから。本当に何様のつもりなんだ。
ま、構わないさ。俺は安眠が確保出来ればそれで良い。ここは馬鹿に任せておこう。そう思い、横になる事数分後、またあの音がやってきた。
『ぷ~ん』
屁ではない。またあの蚊だ!!思わず耳元を払ってしまったら、
『馬鹿!!じっとしてなさい!!』
また悪態が飛んできた。ちっ、俺の苦しみが貴様にわかるか…。っと思った数秒後だった。
『バチン!!』
俺の右足に激痛が走った。もちろん、原因は憎きヨ…、
蚊だ。
暗闇の中、右足に止まったのを嫁が見極め、叩き落としたのだった。月明かりの下、血のにじんでいるのを確認した。間違いない。俺はあの苦しみから解放されたんだ!!
馬鹿とか貴様とか思ってごめん。やっぱり、俺はお前と結婚してよかった。たくましい嫁でよかった。
眠れぬ夜も悪くはない、そんな事を実感出来た特別な夜であった。
この作品はフィクションです。
- そう…、眠れぬ夜ってのは誰しもあるだろう。だが、俺にとってその夜は特別だったのさ…。