ゆりスケさんとモバ友になろう!
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- 2013/5/25 20:44
- 抱いたものは空虚、得たものは幸せ 2
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- 意識は戻ったが、彼の体は自由を失った。
一人では何もできない。
ただ、口を達者に動かすだけ。
しかし
白い壁に囲まれた狭い空間の中で
機械的な日々の中で
徐々に時間の感覚はなくなる。
誰が誰なのか分からなくなる。
彼は、脳も腐敗していった。
彼を慕う者はいない。
心から心配する者は誰一人いない。
見舞いに来るのは
世間体とやらを気にかけて『義務を果たしていることをアピールするため』たまに来る者が二人。
『長男・一人っ子としての役目』を持つ父が定期的に数分間だけ。
そして2013年1月頃(詳しくは忘れた)死んだらしい。
らしいというのは、たいして何も知らないからだ。
私はその瞬間を見ていないし、葬儀にも出なかったから。
ずっと願ってきた。
あいつを一人孤独に死なせること。
願い通りになった。
なのに、私の心は無だった。
ずっと願ってきた事が叶ったのに。やっと自分の思惑通りになったのに。
嬉しくて跳び上がるどころか、何も感じられなかった。
空虚
なぜなのか、未だに分からないでいる。
葬儀の当日
姉から電話がきて「参列しなくて後悔しないの?」と言われた。
私は頭が真っ白になった。
『後悔・・・悔いが残る』
『悔い?・・・心残り?・・・何に対して?』
本当に意味が分からなかった。
でも、冷静になって考えてみると一般的にはそうなのだ。
普通の祖父と孫の関係であるならば。
長女は小さい頃から習い事ばかりでほとんど家にいなかった。
アクティブで外交的で、学生時代のほとんどを外で過ごした。
だから、何も知らない。
母がどんな苦労をしてきたのか。
私が彼にどんな事をされてきたのか。
陰でどんな事を言われていたのか。
姉と私は正反対の人間。
私が何を言っても分かるはずのない、何も知らない・何もされていない幸せな人間。
彼女が羨ましかった。涙が流れた。
『なぜ、私だったの?』誰かに聞いた。
自分が醜い。自分が醜い。自分が醜い・・・。
幼い子供が目の前に揺らいだ。
言ってはならないと心に決めた。決して言わなかった。
しかし、涙と共に心から溢れだした感情は、言葉を弾き出す。
「私はあなたの身代わり。私の犠牲で今のあなたがある。
教えてあげる。
あなたの優しいお祖父さんは、○○○した×××な奴だ。
傷つくといい。一生背負うといい。
このことを誰かに言ったら許さない。私と二人で墓場まで背負いなさい。」
続く
- 意識は戻ったが、彼の体は自由を失った。