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    • 2011/4/3 15:59
    • 「傷跡」外伝『薬の値段』②
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    • 九尾は話に若干の嘘を混ぜて、物知らぬ金持ちの飼い猫に話した。
      確かにあの薬は5000ポコリする代物だった。しかし、まだころんが上京してくる前から、ころんの父親はころんを連れて度々この店を訪れていた。ころんは薬師にすぐになつき、子夫婦を亡くしていた薬師はやがてころんを孫の様に思う様になっていた。そしてころんはパティシエとなり、時折和菓子を差し入れに来てくれていた。毎回その味で成長ぶりが解り、九尾はそれを楽しみにしていた。だから、ころんは『特別な客』であるのだ。そんなころんから5000ポコリ取るよりも、最近忙しいのか差し入れの減った「孫」の手作りの菓子の方が年老いた九尾にとっては『利益』であり5000ポコリ以上の価値があるのだった。だがそれは伏せた。それ以外は、全て本当の事を話した。佐助が汗だくで駆け込んできた事、初対面の自分に土下座をした事、しっかりと言いつけを守り、目の前でたじろいでいる者の妻を殆ど寝ずに救った事。

      ロレンスは自分を責めた。
      そんな高価な薬を使ってくれた事、そこまで必死に知らない妻を助けてくれた事、それらをしてくれた佐助に嫉妬していた事を。

      九尾「…そのネクタイピン」

      す、と九尾はロレンスのタイピンを指差した。自分が稼いで主人から買ったものだったが、スターエメラルドに金細工のとても高価な、12000ポコリもしたタイピンだった。ロレンスはこれをいたく気に入っており、自分の努力の結晶とし、勲章としていた。

      九尾「それと薬を交換なら、応じてもいい。だがそのピンはお前さんにとってとても大切なものなのだろう?見れば判る。それに、薬より何倍も高価だろう。」

      ロレンスは完全にプライドを打ち崩され、項垂れていた。

      九尾「今日は帰りなさい。そしてよく考える事じゃ。ネクタイピンか4000ポコリ。それ以外は応じないからの。」

      ロレンス「…わかりました…では、また…」

      すっかり覇気を無くした背中が店を去ると、九尾は楽しそうに笑った。

      九尾「長生きはするもんじゃのぅ。」

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