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- 2011/4/3 15:31
- 「傷跡」外伝『薬の値段』①
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- ロレンスは悩んでいた。
マリーシアは以前の様にとても元気になり、瀕死の重傷を負っていたとは思えない程だ。
ただ一つ、恩人の話題が増えた事が、少しばかり心に火を灯す。マリーシアは佐助の事を話す度に、傷跡を隠す為にと自分が贈ったストールを取り、若干残った傷跡を撫でながらとても穏やかな顔をするのだ。それが悔しくなったロレンスは、佐助が言っていた九尾狐の薬師の店へ足を運んだ。
ロレンス「失礼。傷跡を消す薬、という物はお作りいただけるだろうか?」
九尾「無い事は無い。…お前さん、『首の傷の子猫』の臭いがするねぇ。あの店の関係者では無さそうだが…」
ロレンス「それは私の妻です。黒猫の佐助様に、ここの薬で助けていただいたと聞いておりまして…ただ、傷跡が残ってしまいまして。」
九尾「錆びた釘で喉の肉を持っていかれたんじゃ。肉は私の薬で戻せるが、声が戻ったのは奇跡じゃよ。あの黒猫のお陰、じゃ。」
ロレンス「なんと…」
九尾「…さて、話を戻そうかの。その薬の値段は4000ポコリじゃ。」
ロレンスは驚愕した。手持ちは2000ポコリ。これだけあればどんな薬も買えると思っていたのだ。
九尾「その顔を見ると、手持ちは足りない様じゃの。高すぎる、と思ったか?あの肉を戻す薬は5000ポコリする取って置きの薬じゃよ?佐助は、それを買い、お前さんの妻に使ったんじゃよ。助けたい、それだけでな。見知らぬ猫を、じゃ。」
- ロレンスは悩んでいた。