ころんさんとモバ友になろう!
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- 2011/4/2 2:47
- 掌の上の死
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- 材料の買い出しへ行った帰り道。とある民家の塀の下に、花弁が幾重にも重なった花が落ちていた。花の形を保ったまま木から落ちていたその花を、ころんは拾い上げた。
世界は春めき、色付き始める。拾い上げた春の欠片はまだ綺麗なままで、掌の上で極彩色に死んでいる。
そう、落ちた、という事はつまり、役目を終えたという事。掌で弄べば花弁は柔らかく、微かに残る香りが流れていく。それが嬉しくて、ころんはその"亡骸"を大事に片手に包んでいた。
しかし、すぐに異変に気がついた。
花弁は拾い上げた時より、明らかに萎れ、鮮やかさを失っていた。
『あたしが、殺めてしまった』
急にそんな気持ちに支配される。掌の体温は、確かに花弁の最期までの時間を早めていた。
「…死骸に、興味なんか無いわ」
呟くと、近くの芝生に逃げる様に花弁を捨てた。
永遠なんて何処にも無いんだ。
- 材料の買い出しへ行った帰り道。とある民家の塀の下に、花弁が幾重にも重なった花が落ちていた。花の形を保ったまま木から落ちていたその花を、ころんは拾い上げた。