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    • 2011/5/11 23:15
    • ★僕と中年おじさんと時々ギャル★
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    • これは、ある電車内で起きた僕と中年おじさんとギャルの話である
      いつもの仕事帰りの電車の中、疲れた顔をした人々を乗せた電車は次駅に向かっていた
      満員とまではいかないが、この時間の電車はいつも込んでいる
      僕は吊革に体重を預けて揺れる電車に身を任せていた
      そんな僕の隣にも、一際疲れた顔をした中年おじさんが今にも、こけそうなくらい吊革に体重を預けこっくりと、うたた寝をしている
      そして、その中年おじさんの前の座席には10代後半ぐらいの今時というのかどうか分からないが世間にギャルと呼称されるような女の人が膝の上に手さげ鞄を乗せ、その上で手に携帯電話を広げ凄い早い手つきでメールを打っていた
      僕は、吊革を持った両腕の下からもう一度中年おじさんの顔を見る
      年齢は40後半か50ぐらいに見えた
      ハゲて広くなったオデコには、汗で濡れた一掴みの髪がへばり付いている
      僕も将来、この中年おじさんのようになるのかな?などと心の中で少し考えてはみたが、体の疲れが、そんなどうでもいい考え事は止めろと言わんばかりに波打った
      「まもなくぅ~うきあなぁ~うきあなで~御座います」
      電車の中に機械を通した車掌のクセのある声が鳴る
      中年おじさんには、その声が聞こえていないのかさっきよりも、大きく体を揺らしながら眠っていた
      その前の座席のギャルも、いつの間にかメールを終えうとうとと首を傾けながら、静かに眠りに入っていた
      ぽたっ?
      携帯電話を持ったギャルの手の甲に
      何やら水のようなものが落ちてきた
      それは、中年おじさんの口元から降り注いできた
      ヨダレだった
      中年おじさんは眠ったまま
      そして、ギャルも眠ったまま
      「うきあなぁ~うきあな~で御座います」
      お降りのお客様は、忘れ物のないようご注意下さい」電車の中に再び、機械を通した車掌の声が鳴り
      混雑していた車内は、降りた人の数だけ隙間が空いた
      ぱっと、ギャルが目を覚ます
      辺りの騒がしさに、電車が駅に着いた事に気付く
      慌てて手に持っていた携帯電話を膝の上に乗せていた鞄の中に放り込んだ
      そのときに手に付いているヨダレに気付いたギャルはその手を自分の口元に持っていき、ずずぅっと吸い込んだ
      そしてそのまま、足早に電車を降りてホームの階段の方に歩いて行った
      ドアが閉まり再び走り出す電車の中、僕はあまりの突然のことに固まっていた
      中年おじさんは、変わらず体を大きく揺らし眠っていた
      そして、その前には一つ座席が空いていた

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