§マサト§さんとモバ友になろう!
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- 2011/6/21 20:25
- コーヒーカップ
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- 十数年前
その当時、付き合っていた彼女と誕生日プレゼントを交換した。
お互いに、誕生日が近いという理由で、
彼女の誕生日前日に逢って、プレゼント交換して誕生日を祝う約束をしていた。
事前に、
お互いに贈る物を決めていた。
贈る物は
「コーヒーカップ」
仕事を終えて、プレゼントを抱えながら、
彼女のアパートへと急いだ。
少し、ドキドキしていた。
物がコーヒーカップとわかっているだけに、
自分のセンスが問われるので、
彼女がどんな反応をするのかが、気になっていたから。
彼女はどんなコーヒーカップを選んだのか?
それも少し気になっていた。
そして、
お互いのプレゼントの包み紙を開けてみた。
彼女に送ったものは、
淡い茶色の信楽焼で、ちょっとオシャレな手作り感のコーヒーカップ。
彼女からもらったものは
アルミの削りだしで、シンプルな実用性のあるコーヒーカップだった。
突然
彼女から大粒の涙がこぼれた。
それは、決して
嬉しいから泣いたわけではなく
その瞬間にわかった。
その涙の意味するものが
お互いの関係が終わる予感がする、切なさいっぱいの涙だということが。
それは、お互いの好みのものではなかった。
自分の好みのものだった。
自分は
都会的な生活よりも、温かみのある、ゆったりとした暮らしを夢みていた。
彼女は
刺激的なアーバンライフを夢みていたのだった。
それがお互いの贈ったコーヒーカップに象徴的に現れていた。
でも、自分のことしか考えていなかったという意味では
似た者同士だったかもしれない。
相手がどう感じるかよりも、
自分の気持ちほうが優先していたのだろう。
わかりにくい言い方を許してもらえるなら
お互いに好きだったけど
それよりも
「人を愛している自分が好き」だったのかもしれない。
次の日は
一人きりの誕生日だった。
「本当に愛していたなら、相手の心を先に思いやること」
薄暗いアパートの部屋で
いつまでも
そのことを考えていた。
彼女から
「得たもの」
「失ったもの」の大きさに、
途方にくれながら・・・
いつまでも
いつまでも・・・
- 十数年前