蓮野鶴羽さんとモバ友になろう!
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- 2014/10/19 2:33
- 暇潰しの文章51
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「……グレイ、遅くない?」
ぼんやりと焚き火を眺めながら、チェルシーはぽつりと溢す。
彼が見廻りと称してこの場を離れて、もう大分時間が経っている。流石に、異常だ。
「……確かに、遅いですね」
鬼灯もそれに同意するように頷くと、ゆっくりと立ち上がる。
「余程の実力者でない限り、グレイさんをどうこうできるとは思いませんが……少し、見てきましょうか」
「私が行く!」
鬼灯がそう言うと、チェルシーが勢いよく言葉を発し立ち上がる。どうやら、心配で居てもたってもいられなくなったようだ。
「いえ、私が行きますよ。すれ違っては大変ですし、チェルシーさんはここに居て下さい」
「でも……!」
「盗賊ともう一戦交えたいんですか?」
「!」
鬼灯の言葉に、チェルシーは身体を強張らせる。
盗賊と会ったこと、ましては一戦交えたことなんて、口にしていないのに……。
「若輩者が甘いですよ、年長者をあまり舐めないでいただきたいものですね。
それはともかく、少し見てきますので、チェルシーさんは待機をお願いしますね」
鬼灯は、そのまま森の中へと姿を消してしまう。
その姿を見送って、チェルシーは再度腰を下ろした。
(……若輩者が甘い、か)
見抜かれていたのだ。自分が咄嗟に隠した出来事を。
まだまだ甘い。それは判っている。このままでは、到底復讐なんて夢のまた夢だ。
(そんなの──)
駄目だ。
決めたのだ、自分から全てを奪ったあの赤い髪の男に復讐するのだと。
例え、何かを失ったとしても。
例え、それで自分が落命しようとも。
それでも、絶対に。
(──甘えるな。立ち止まるな。
私、私は──……)
チェルシーはそのまま、深く息を吐く。
(──私は、やらなきゃいけないんだ)
例えそれが、茨の道であったとしても。
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